電話占いの仕組みから見えてくる占いを信じる構造について

近代化が煮詰まった現在、主体を持つ人間の数だけ「悩み」が発生する状況だ。

その「悩み」というのがビジネスの対象であることはいうまでもない。

電話占いというのは、この「悩みビジネス」の最新系として登場したもので、ある意味、「人の弱み」につけこんだからくりに満ちた商売であると断言していいだろうと思う。

「溺れる者は藁をもつかむ」じゃないが、電話占いというのは、いわば溺れる者にとっての藁みたいなものだ。

藁を掴みたい気持ちはよく理解できる。

だが、藁をつかむまえに、電話占いという商売のからくりを知っておくことは無駄ではないだろう。

電話占いを利用するにあたっては、そのからくりを知ったうえで「それでも利用しますか?」ということは、考えたいところだ。

そこで今回は、電話占いを利用する前に知っておきたい、電話占いの様々な「からくり」について考察していくことにしよう。

電話占いの初回無料キャンペーンというからくりについて

まず、電話占いの「からくり」として最初に見ていきたいのは、電話占いの新規登録者が利用できる「初回無料キャンペーン」などのからくりについてだ。

電話占いというのは、例外はあるものの、ほぼすべてのサイトがこの「初回無料キャンペーン」というものを展開している。

これに関しては「無料だから何か悪しきからくりがあるのでは?」という勘ぐりをする人もいるかもしれないが、これは、「電話占い」という業界を支えるための基本的なからくりと理解するのが正解だ。

電話占いというのは、現在さまざまなサイトが開設される活況を迎えており「どの電話占いを使えばいいの?」という贅沢な悩みを抱えている状況にある。

電話占いが「商売」である以上、その電話占いが信用にたる電話占いかどうかを判断するための「何か」が必要で、これがない限り、その電話占いが新規ユーザーが獲得するということはできない。

そこで電話占い業界が、業界総出で展開しているのが「新規キャンペーン」というもので、「無料」であることのからくりは、ひとえに「新規獲得のため」という切実な理由に由来する。

「初回無料キャンペーン」から「課金ユーザー」になった場合、あなたは電話占い側がしかけた最初の「からくり」の通りに動いたということになるだろう。

対面鑑定じゃないのに占いができるからくりについて

電話占いというのは、「対面鑑定」ではない。

その名の通り「電話」でのやり取りで占いを行うサービスだ。

ここで生じる疑問は「対面じゃないのに占いができるって、どういうからくりなの?」ということだろう。

実際、電話占いのなかには「霊視占い」などの、「対面」であることを前提とした占いが用意されているにも関わらず、「対面」でない状態での占いが横行している。

これは一体、どういうからくりなのか?

これに関しては、身も蓋もないかもしれないが「占い」というものに、明確なルールがなく、ファジーで適当な部分があるから、という説明だけが可能だと思う。

言うならば「いったもん勝ち」というのが電話占いに限らず、「占い」のからくりであるということができるだろう。

むしろ「対面」であることは、「対面である」ということを理由にして占いの正当性や信頼性を獲得するというからくりを持っているといえる。

その点、対面ではないのに「霊感」や「霊視」ができると言い張ってしまう電話占いというのは、この占いを成立させる「いったもん勝ち」の最も堂々とした開き直りということができるかもしれない。

いわば、「対面じゃないのに占いができる」というのは「占いにはからくりがない」ということを証明するようなもので、この証明自体が「からくり」という逆説が成立するだろう。

電話占いの本質は「占い」であるより「対話」であり、「相談に寄り添うこと」である。

「対面ではない占い」というのは、占いというフォーマットを借りて行われるカウンセリングである。

このカウンセリングを、カウンセリングではなく「占い」と言い張るところに電話占いのからくりがある。

心療内科や精神科医などに相談したり予約をするより気軽で身近だというのが、電話占いの「強み」であり、からくりであるといえるのではないか。

電話占いで当たるという感覚になるからくりについて

電話占いで「当たる」という感覚になるからくりは、電話占いに限った話ではなく、占い全般に関わるからくりである。

占いというのは「なんにでも当てはまる一般論」「相手に寄り添った深堀り」「曖昧な匂わせの表現」の三つを駆使することで「結論」や「断言」を避けながら、「当たり」といわれる状態に少しずつ接近していく作業であり、これは電話占いも同様のからくりを利用している。

電話占いだけでなく、すべての占いにおいて、この根本的な三つの方法を知っている人は、そもそも「占いというからくり」を信じることができない。

占いというのは、この「一般論」「寄り添いによる深堀り」「曖昧な発現」に対する、積極的な「信じようとする」という相談者側の気持ちの持ちようによって成立するものであり、「占い師と信じたい相談者」の共犯関係というからくりのうえで行われるものだ。

この共犯関係をまったく理解していない「信じやすい人」か、このからくりを理解したうえで「それでも信じようとする人」だけが、電話占いを利用して「当たる」という感覚になることができる。

「からくり」というものを考えて、それでもなお「占われたい」と思う。

そういった積極的な姿勢がないのであれば、電話占いも利用するべきではないというのが私の考えだ。

電話占い初心者でよくわからないという人は最新の電話占いランキングなんかを覗いてみると良い。

たくさんある電話占いの中から自分に合う電話占いがきっと見つかるはずだ。